2013年9月24日火曜日

本のレビュー「アドルフに告ぐ」


今回は手塚治虫の名作「アドルフに告ぐ」のレビュー・・・というか感想です。

手塚治虫の残した名作の一つですね

続きを読むからどうぞ!





間違いなく、「名作」です。いや名作ということすらおこがましいような


前半は様々な登場人物が登場します。

ナチスに弟を殺された峠草平。その峠の命を狙うゲシュタポのランプとその娘。

が中心になって物語が進むのかと思ったら、途中で場面が変わって

日本に住む、2人のドイツ人の「アドルフ」 にスポットが当たります。

一人はドイツ人と日本人のハーフのアドルフ・カウフマン。

一人はユダヤ系ドイツ人のアドルフ・カミル。

二人は仲良しなんだけど、カウフマンの方は父親がナチスで、「ユダヤ人と付き合うな」と言われ、

結局ナチスの学校であるヒットラー・ユーゲントに入学させられてしまう。
その他、様々な登場人物が複雑に絡み合うのですが、その中心にあるのは

「アドルフ・ヒトラーはユダヤ人だった!」というスキャンダルです。

この、見事なまでの絡み方は本当に素晴らしいと思います。

複雑な出来事や登場人物がひとつになっていく、その過程を

単行本4冊に収めきっているのは素晴らしい・・・・



そして、後半になるにつれてだんだんと二人のアドルフがメインになっていきます。

ユダヤ人のカミルとユーゲントからナチスに入ったカウフマン。

あれだけユーゲントに入りたくないと言っていたカウフマンが、だんだんと洗脳されていき

最後には完全にナチスの一員になってしまうのは本当に悲しい。

そして、ユダヤ人の彼女のことでカミルと殺し合いにまで発展するんですが、

だからといってカウフマンが完全に悪かというとそうでもない

命がけで逃亡させたユダヤ人の彼女を寝とるような形を取ってしまったカミルも悪いといえば悪いし、

カウフマンを洗脳したナチスも悪いといえば悪いだろう。

でも、カミル"だけ"が悪いわけでもなく、ナチス"だけ"が悪いわけではないし

「誰が悪い」 という問題じゃないのがこの物語の主題なんでしょうね

二人のアドルフが、最後にイスラエルで決闘を行うシーンは悲劇以外の何物でもない。

(多分、こりゃ最後は二人で和解かな?とか普通なら思うよね・・・・)



と、まぁものすごい量のメッセージとミステリーを詰め込んで、4巻にまとめているという事実

やっぱり漫画の神様は伊達じゃないですね・・・・

古いと感じたのは絵柄だけで、内容は今見ても

というか逆に今の漫画のほうが、ここまで物語が濃い漫画ってないんじゃないの?

いやいや、今の漫画は単純につまらん!と言いたいのではないですが・・・・


あと、個人的なことを言うと

同じ戦争を扱った物語でも、はだしのゲンみたいな人権映画によくある

単純に「戦争はいけません」「日本軍がわるかった」的な、単純(に見える)話よりも

こういう、色々と考えさせられる話のほうが好きだなぁと思うのです

そういう意味でも、ぜひ一度は読んで欲しい漫画ですね





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